現代和風庭園リフォーム:既存の物置や池、どうする?不要物の撤去と活用の考え方
既存の庭を現代的な和風庭園に改修したいと考えたとき、長年そこにあった様々なもの、例えば物置、使わなくなった池、古びた構造物などが視界に入ることでしょう。これらをどのように扱うかは、改修後の庭の景観や機能性を大きく左右する重要な課題です。単に邪魔だからと撤去するだけでなく、現代和風のデザインに取り込む方法もあります。
このセクションでは、既存の庭にある不要物の種類や、それらを撤去するのか、あるいは改修後の庭に活かすのかを判断するための考え方、そしてスムーズに改修を進めるために業者に伝えるべきポイントについて解説します。
既存庭にある「不要物」とは?具体的な例
現代和風庭園への改修を考える際に「不要物」となりうるものは、様々です。具体的には以下のようなものが挙げられます。
- 物置や倉庫: 庭の隅に置かれた既製品の物置や、手作りの倉庫など。収納目的で設置したものの、景観に馴染んでいない場合が多く見られます。
- 古い池や水鉢: かつて金魚などを飼っていたが今は使っていない池、水漏れするようになった水鉢など。手入れが行き届かず、荒れてしまっているケースがあります。
- 不要な庭石や岩組み: 以前の庭造りで配置された大きな石や、役目を終えた岩組み。現代的な和風のテイストに合わない場合があります。
- 構造物: 古いパーゴラ、アーチ、手すり、使わないコンクリート製の台など。老朽化していたり、現在のデザイン思想と合わない場合があります。
- 不要な舗装材やタイル: 古くなった飛び石、ひび割れたコンクリート、使われなくなったタイル敷きのスペースなど。
- その他のオブジェ: 使用しなくなった照明器具、撤去したい装飾品など。
これらは、そのままにしておくと新しい庭のイメージを損ねるだけでなく、手入れの負担になったり、時には安全性の問題を引き起こしたりすることもあります。
撤去か、活用か?判断するための考え方
既存の不要物を「撤去する」のか、それとも「現代和風庭園のデザインに活かす」のかは、慎重に検討する必要があります。判断のポイントはいくつかあります。
- 新しいデザインとの調和: 計画している現代和風庭園のデザインテイストに、その不要物が馴染むか、あるいは馴染ませることができるかが最も重要です。例えば、古い石であっても、配置を変えたり周りの要素と組み合わせることで、景(景色)の一部として活かせるかもしれません。古い池も、埋めて坪庭の一部にしたり、流れを加えてつくばいとして生まれ変わらせたりといった方法が考えられます。
- 機能性の可能性: その不要物に新たな機能を持たせることが可能か考えます。例えば、古い構造物の一部をベンチとして活用したり、水鉢を鳥の餌場として使うなど、視点を変えてみましょう。
- コストと手間: 撤去には費用(解体費、搬出費、処分費)がかかります。一方、活用する場合も改修や移設に費用や手間がかかることがあります。どちらが経済的で、かつ望ましい結果になるかを比較検討します。撤去費用は、物の種類、大きさ、材質、搬出経路などによって大きく異なります。
- 安全性と耐久性: 老朽化している物置や構造物は、安全上の問題がある可能性があります。耐久性が低くなっているものは、改修して使い続けるよりも撤去を検討すべきでしょう。
- 思い入れ: その不要物に特別な思い入れがある場合は、撤去以外の方法を優先的に考えたいものです。全てを新しくするのではなく、愛着のあるものを残すことも、自分らしい庭造りには大切です。
プロの庭園デザイナーや造園業者に相談する際に、これらの判断ポイントを伝えることで、より具体的なアドバイスや提案を得やすくなります。
不要物を撤去する際の流れと注意点
不要物を撤去することを決めた場合、いくつかの流れと注意点があります。
- 業者への明確な指示: どの不要物を、どこまで撤去してほしいのかを具体的に業者に伝えます。撤去後の地面をどうしたいのか(平らにするのか、何かを植えるのかなど)も併せて伝えましょう。曖昧な指示は後々のトラブルにつながる可能性があります。
- 見積もり内容の確認: 撤去にかかる費用は、見積もり項目として明記されているか確認します。解体費用、撤去物の運搬費用、処分費用などが含まれているか、内訳を詳細に確認することが大切です。想定外の追加費用を避けるためにも、不明な点は契約前に全て質問しておきましょう。
- 必要な申請や許可: 構造物の規模によっては、撤去に際して役所への申請や許可が必要になる場合があります。これは通常、業者が代行してくれますが、どのような申請が必要か、進捗はどうなっているかを確認しておくと安心です。
- 工事中の配慮: 撤去作業中は、騒音や振動、粉じんが発生することがあります。事前に近隣住民へ工事期間や内容について挨拶と説明を行うことが、トラブルを避ける上で重要です。これについても業者と事前に相談し、協力して進める体制を確認しておきましょう。
- 再利用したいものの選別: 撤去する物の中に、新しい庭で再利用したい素材(例えば、使える状態の庭石や瓦など)があれば、事前に業者に伝えておきます。撤去物と再利用物を区別し、適切に保管してもらうよう依頼しましょう。
不要物を「活用」して現代和風庭園に取り入れるアイデア
全ての不要物が撤去対象になるわけではありません。中には、現代和風の要素として活かすことで、庭に深みやオリジナリティを加えることができるものもあります。
- 既存の庭石: 形が良い石や、思い入れのある石は、配置を変えたり、苔を組み合わせたりすることで、新しい景観のポイントとして生まれ変わらせることができます。石の選び方や配置は和風庭園において非常に重要であり、既存の石材を活かすことは、歴史や物語を庭に加えることにも繋がります。
- 古い水鉢やつくばい: 使わなくなった水鉢でも、割れていなければ、新しい場所に設置し直し、周りに植物を配することで、趣のある手水鉢として蘇らせることができます。水を使わないドライガーデンの一部として、象徴的に配置することも可能です。
- 構造物の基礎など: 古い構造物を撤去した跡に残る基礎なども、全てを撤去するのではなく、一部をベンチの土台にしたり、高低差を活かした植栽スペースに転用したりと、工夫次第で活用できます。
- 再利用可能な素材: 古い瓦や木材なども、小道の縁取りに使ったり、オブジェの一部として再利用したりすることで、独特の風合いを出すことができます。
これらの活用アイデアを実現するには、専門知識を持つプロの視点が不可欠です。既存の庭の不要物を見ながら、業者に「これは活かせますか?」「こんな風に使えませんか?」と相談してみましょう。意外なアイデアを引き出せる可能性があります。
業者にスムーズに伝えるためのポイント
不要物の処理について、ご自身の考えを業者に正確に伝えることが、スムーズな改修への第一歩です。以下の点を整理しておくと良いでしょう。
- 不要物リストの作成と写真: 撤去または活用を検討している不要物をリストアップし、それぞれの写真を撮っておきます。物の名称、大まかなサイズ、現状(破損の有無など)を書き添えておくと、業者も状況を把握しやすくなります。
- 撤去または活用の意向: それぞれの不要物について、「撤去したい」「できれば活かしたい」「プロの意見を聞きたい」など、ご自身の意向を伝えます。なぜそう考えたのか、理由も添えると良いでしょう。
- 活用したいアイデア(あれば): もし具体的に「この石をあそこに動かしてほしい」「この水鉢をこんな風に使えないか」といったアイデアがあれば、遠慮なく伝えてみましょう。スケッチや参考写真などがあると、より正確に伝わります。
- 予算感と優先順位: 不要物の処理も含めた全体の予算感を伝え、特に費用のかかる撤去については、予算内で収まるように優先順位を相談することも重要です。
これらの情報を整理して初回相談時に伝えると、業者側も状況を素早く理解し、より的確な提案や見積もりを作成しやすくなります。
まとめ
既存の庭を現代的な和風庭園に改修する過程で、不要物の処理は避けて通れない課題です。物置や古い池、構造物などを単に撤去するだけでなく、現代的な感性で活かすことも、庭の個性や魅力を高める方法の一つです。
撤去か活用かの判断には、デザインとの調和、機能性、コスト、安全性など、複数の視点から検討が必要です。そして、ご自身の意向をプロの庭園デザイナーや造園業者に明確に伝えることが、理想の庭を実現するための鍵となります。不要物のリスト化や写真準備、そしてオープンなコミュニケーションを心がけ、新しい現代和風庭園造りを成功させてください。